Day9 マザーハウス
むくむくと起き上がり、待ち合わせていた女の子と合流した。朝7時にマザーハウスに到着すると無料の食事をとった。ヨーロッパ人ばかりだった。マザーハウスには今でもマザーテレサの亡骸が鎮座されている。時間があったので、一緒に来た彼女とおしゃべりしてみると、彼女(以下Sさんとする)は大学時代1年留学して、今年新卒で某一流化粧品メーカーで管理職をしているらしい。就職に対する見方が僕と似ていてとても面白かった。あと英語が堪能で姉御肌。正直マザーハウスのシスターが何を言ってるのかよくわからなかったので、Sさんがいて助かった。
しばらくするとお祈りの時間があった。その後マザーハウスが運営する施設への人員振り分けがある。障害者の施設や子供の施設、老人の施設等様々だ。僕と彼女は老人の施設に派遣されることになった。マザーハウスで長期ボランティアをしているヨーロッパ人達に連れられ、バスに乗り込んだ。
施設の門前にて
マザーハウスのボランティアはあくまでもボランティアであり、誰かに指図されて動くものではない。自分で仕事は見つけなければならない。女性と男性が分けられてしまい、一人だったのでリーダーっぽいエルサルバドル人に着いて行くとやることを教えてくれた。ベッドメイキングをしたり、掃除をしたり、洗濯したり、ご飯を食べさせてあげたりした。元々マザーハウスのボランティアに参加しようと思ったきっかけとして、全くボランタリーな人間ではない僕にも新しい道が見えるかもしれないという意図があった。結果的に言うと僕自身は何も変わらなかった。これからもボランティアをしようとは思わない。しかしながら、長い間コルカタに滞在し、毎日のようにボランティアを続けるヨーロッパ人や中国人を見て、それだけ長い間自分の時間を割いて人に尽くすことができるってすごいことだと感じた。本当に本心から人に尽くしたい人でないと続かないだろうとも感じた。一緒に来たSさんも同じ考えだったようだ。僕らにはボランティアは向かない。
マザーハウスで会った日本人で面白い人もいた。24歳の彼は勤めていた市役所をやめて世界一周を開始したのだが、コルカタに4ヶ月沈没しているらしい。もはや世界一周ではなく、ただのコルカタ滞在だった。
マザーハウスでボランティアを終え、Sさんが行きたいという謎のミュージアムに向かった。しかし待ち合わせていたという韓国人がトラブったらしく、サダルストリートという繁華街の屋台にインド人が群がっていたのでカレーを食べた。
人気店だけあって、かなり美味い
Sさんが隣のインド人に話しかけて仲良くなっていた。強い人だ。君の食べているカレーもちょっとくれない?とかインド人に言ってた。隣にいたインド人が通っているという近くの美術大学を見学した。僕は疲れたので1人で宿に帰ったが、結局Sさんは別の店で会ったインド人と意気投合したらしく、22時過ぎに宿に帰ってきた。強い女だった。
1人で宿に帰り休憩した僕は今日こそアジア最大の風俗街ソナガチを見学しようと意気込み、宿を出た。宿に泊まっている女性達にも私も行きたいけど、行けないからレポートよろしく!と背中を押されていた。水を買おうと商店に立ち寄り、ソナガチ行きたいんだけどやばいかな?みたいなことを言ったら。俺とこいつとお前で行ったら安全だから俺らに10000ルピー払えと言われた。多分17000円くらいだ。ソナガチでは買うことをダンスという。俺らと一緒に行ってダンスしようよみたいなこと言ってたので、流石にそれは厳しいと笑いながら話していたら、おっさんがやってきて俺はパキスタンから来たオサマビンラディンだ!とかほざき出した。oh!helloビンラディン!とか言いながら握手とハグしといたら周りのインド人一同爆笑だった。ビンラディンはソナガチ行ったら殺されるぞみたいなこと言ってた。(ちなみにビンラディンを買うことはできるか聞いてみたが、拒否られた)正直チキンなので怖くなって宿のセキュリティーのおっさんにも聞いてみると、1人で行くのはかなりデンジャーらしい。かつて3日間で9人もの娼婦を買った伝説の日本人がいたらしいが、チキンなのでやめた。ソナガチを見ることは永遠にないだろう。俺だって死にたくない。
ということで宿に戻り明日14日のダージリン行きの飛行機を予約した。本当は14日の夜にでて、15日の朝に着く電車にしようと思っていたが、15日はインドの独立記念日であるため、テロの可能性が高くなる。14日のうちに移動したかったため、飛行機を予約した。
何度も言っているが、海外で出会う日本人は本当に面白い人が多い。今日もヤバい系の2人がゲストハウスに泊まっていた。
まず大学4年生で休学中のA君。パリピ 系ではなく、かなり落ち着いた見た目の彼は今日バングラデシュから来たらしい。電車でコルカタまで来たかったが、犠牲祭のため混んでいたらしく、なんかよくわからんけど自力で来たらしい。バングラデシュ人は優しいらしく、ついて行ったら無賃で国境を越えられたとのこと。しかしながら問題なのはそこではなく、中国人に連れられ、1ヶ月前にノリでミャンマーで女性を買ったら、避妊具が破損した。その日を境にずっと股間がかゆいらしく、真剣に悩んでいた。
それに対抗する31歳日本人のBさん。5ヶ国語を操る言語オタクの彼はホーチミンで自営業をしているらしく、気功師らしい。よくわからんけど「気」が操れる。見た目からして怪しい臭いがプンプンする。大学時代はガチガチのバックパッカーで、いわゆるアフリカの中でも紛争地域であるマリや、危険地帯を旅してきたらしい。彼に言わせるとエジプトやモロッコ等の北アフリカはアフリカ初心者であり、アフリカではない。そしてコンゴ人女性をバチボコに買ったことがあるらしい。しかも避妊具なしで。俺は性病にならない自信があったから大丈夫だった。だから気持ちの問題だと言ってA君を慰めていた。いや意味不明やろ。あれがバックパッカーの成れの果てなのか。多分もっとやばい話あるけど、ネタが多すぎて彼にとって武勇伝でもなんでもないんだろう。終始真顔で普通にヤバい系だった。
そんな話を昨日カレーを一緒に食べた女性と4人でしていた。楽しい夜だ。日本人にもいろんな種類がいる。
そういえばインドに来てからずっと思っているのだが、インド人の英語はめちゃくちゃ聞き取りづらい。訛りが凄い。恐ろしいほどに。